性根

端正な目鼻立ち、ぐっと真一文字に引き締まった口、温容のなかに聡明さと意志の強靭さをあらわしたこの首は、30代の男ざかりの実役が役どころで、白塗りが定法。文七と異なり、この首が敵役に使われることはない。動きのあるアオチ眉とヨリ目のかしらが中心。
ほかにアオチ眉とネムリ目のものなど、仕掛けの有無のみならず、寸法、肉付きなどの違いから役柄も大名、武士、鎧武者、町人と幅広く使われるその性根をひときわ強調する。顎にしこりのある首をおもに敵役に使われるほか、かづらの種類により、時代・世話ともに幅広く使われる。

役名例

大振りで面長のアオチ眉とヨリ目のものは、 『勧進帳』の富樫左衛門、『絵本太功記』の真柴久吉など。知謀に富んだ武将には、アオチ眉とヨリ目のいくぶん丸顔で『菅原伝授手習鑑』の梅王丸、『摂州合邦辻』の奴入平など身分の低い舎人の役や足軽に、アオチ眉とネムリ目の頬の痩せて愁いの影をもつものは由緒ただしい武士が浪人の身となって、のちに心底かわらぬ忠義を尽すような役どころや手負のものに使う。
『妹背山婦女庭訓』の芝六『絵本太功記』の清水長左衛門など。描き眉のネムリ目では、『寿式三番叟』の三番叟、『源平布引滝』の松波検校、『釣女』の大名に使う。